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方丈庵

Architecture

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京都、下鴨神社に向かって史跡糺(ただす)の森に入ると、すぐに鴨長明ゆかりの河合神社が見えてくる。その境内に、鴨長明の方丈庵のレプリカが建てられている。

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鴨長明と言えば、「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし」で知られる方丈記の作者である。鴨長明は、1204年、50歳の時、京都の洛北大原山に隠遁し、この方丈庵で「方丈記」を書いたとのことだ。

下鴨神社に方丈庵があるということを知ったのはそんな昔ではない。
22日京都、京大での会合に出席する機会があり、近くの下鴨神社を訪問する好機と考えた。


click! 東面


click! 南面

小さな境内にそれはあった。保存のため、大きな屋根の下にあった。
方丈とは、一辺が「一丈(約3m)」の正方形だ。従って Be-h@us でいえば、303 ということになる。面積は 9㎡ (2.7坪 5.4畳)、六畳間よりちょっと小さいというところだ。メーターモジュールを見慣れた目にはとても親しく感じることができる。柱間は1.5mで、8本の柱で構成され切妻の屋根を持つ。

800年前の現物が存在するわけではないし、設計図書が存在するわけではない。「方丈記」の記述を元にして諸説あるとのことだが、この復元については京都工芸繊維大学名誉教授・中村昌生氏の監修の元、株式会社安井杢工務店によって作られたとのことだ。

そのレプリカは開口部を全開にした状態で展示され、南面を西方に90度捻った形で展示されている。南面には竹の濡縁、妻側の東面には庇を出して、その下で煮炊きする厨房スペースとなっている。
ワンルームの室内には、方丈の真中に炉をきり、全面壁の西面は衝立で半分に仕切られ、その南面側には釣り棚、北側半分は壁にむかって経机を置き、阿弥陀の像を掛けた書斎というべきか、東面は「ほどろの床」という寝室となる。

本体は組立式で、分解して荷車2台で運べるようになっていたとのことだ。

方丈庵の大きな特長として土台の存在があげられている。これこそ組立式というか、移動式の本体の設計の要諦というべきものなのであろう。このレプリカ自体も玉石の独立基礎となっている。
4面の壁面を構成する要素は、二種の開口部(上部ヒンジのしとみ戸×3と柱間1.5mの引違い戸×2)と、竹製の網代を表にした木製パネルである。

さっそく、私は Be/303/HOJOAN をキット化したいと考えているのである。Be-h@us に最適なプロジェクトと考えている。

とにかく、鴨長明は世俗的な全ての欲得を捨て去り、この小さな方丈庵に一人住んで、人の世について自分について、様々考え続けて、62歳の生涯を終えたのであった。

● aki's STOCKTAKING: 方丈庵 /2

Posted by 秋山東一 @ September 24, 2005 10:24 AM
Comments

セルフビルドの始まり・・・という視点はおもしろいですね。

子供に伝えたい家の本・・・例のシリーズですが、
磯崎新さんは「鴨長明」について書かれるようですね。
どのような視点となるか、こちらも楽しみです。

Posted by: 伊礼智 @ September 26, 2005 02:58 PM

昨日見てきた、清家清展で流されていたビデオで
当の清家さんが自宅をつくるにあたって
鴨長明の方丈庵のことを語っていました。

Posted by: fuRu @ September 24, 2005 04:41 PM

AKI no Chomei が見てみたいですね。
セルフビルドの始まりとしても、
どのような実験が行われるのか、
たいへん興味があります。

Posted by: 栗田伸一 @ September 24, 2005 12:02 PM

鴨長明をもじって iGa no Chomei ってのはいかがでしょうか。
コルのは 606 でしたね。

Posted by: 秋山東一 @ September 24, 2005 11:52 AM

>Be/303/HOJOAN をキット化
面白そうね。
コルのカップマルタンの小屋も方丈庵に通じるものがありますね。

Posted by: iGa @ September 24, 2005 11:34 AM