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環日本海諸国図

Map , THINK

kannihon-map.jpg網野善彦の著作に登場して、初めて知った「環日本海諸国図」は以前からあったものだったのだ。

富山県が作成したものだったのだ。

このエントリーに使用した地図は、富山県が作成した地図(あるいはその一部を)を転載したものである。(平6総使第76号)


この地図は、北が上という通常の概念をひっくり返し、南を上にして作られている。

北はサハリン、南は台湾の一部、西は中国の北京などを含む範囲が富山県を中心とした正距方位図法で描かれている。

この地図を見ると、日本海が一つの大きな内海で、それを囲むようにして日本列島と大陸があり、日本とロシア極東地域、中国東北部、韓国などとの距離が近いことが容易に理解できる。

まさしく、網野の歴史観を展開する場を明示している。島国日本というその固定観念を払拭する力をもっているように考える。この地図の中にあるのは気張った「島国」というよりも、大陸の末端としてのパッシブな場、そのようなものにしか見えない。
赤坂憲雄のいう、日本という場は、「ひとつの日本」という世界から「いくつもの日本」に向けての地図なんではないだろうか。

kannihon-map_10.jpg

右側の地図が通常見ている地図である。地図の方位を変えただけで、物の見方も変り、歴史観も変ってしまう可能性を持っていることが分かる。

この環日本海諸国図(逆さ地図)の転載については、富山県に対し掲載許可申請が必要である。この aki's STOCKTAKING への転載について、正規の許可をいただいてみた。

Posted by @ January 2, 2005 01:01 AM
Comments

本当に、目から鱗です。
日本海が、こんな形で囲まれていたとは・・・。
日本列島は、日本海を囲む島々のひとつだったんですね。
どうしても、既成概念でひとつ方向から物を見がちですが、頭を柔らかくしないと見えてこない事がありますね。
それにしても、日本海って南アメリカに似た形をしているんですね。

Posted by: mukaegawa @ January 3, 2005 12:59 AM

masuzawa さん、あけましておめでとうございます。
カウンターまで気にしていただいて恐縮です。どこを節目にしたらいいのかどうか分かりませんが、今は 100,000 カウントを一つの節目と考えています。

Posted by: 秋山東一 @ January 2, 2005 07:19 PM

環日本海諸国図とは全く関係ない話題です。
さっき、aki' STOCKTAKINGのカウンターが077000になりました。

Posted by: masuzawa @ January 2, 2005 05:44 PM

この間、言っていた正規の許可が2004年・仕事納めの日に下りたのですね。
網野善彦の「日本とは何か」に掲載されている地図は見開き頁の折れ目が邪魔で全体を把握するには正規の地図が良いですね。
やっぱり、本州は南アルプス、北アルプス辺りで西国と東国に分かれている感じがします。この地図を見ると、東国への海運事業は海の東海道よりも北前船の方が合理的に見えてきます。

Posted by: iGa @ January 2, 2005 10:26 AM