040329

二宮陸雄先生

BOOKS

3月14日付け朝日新聞朝刊読書覧に二宮陸雄先生が登場されているというのを、玉井さんの友人の塚原さんから聞いた。出かけていて見落としていた新聞を早速見てみた。

そこには「著者に会いたい」というコラムに[ 『古事記の真実』 二宮陸雄さん サンスクリット語で解読 ]という記事があった。その二宮先生のご著作はこれだ。

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古事記の真実—神代編の梵語解

著者 二宮陸雄


ISBN: 978-4750002477出版社 愛育社
定価: 7,800-円(税別)


二宮陸雄先生は私の主治医なのである。

先生は臨床医である。それは誰でも先生の診察を受けることはできるということなのだ。
神田の先生の医院には、先生の名医がであることを知った人の医院というわけだけでなく、ごく普通の医院でもあるのだ。

先生は臨床医であると同時に、著述家でもある。医学・医療についてのたくさんの著書・訳書があり、ノンフィクション作家でもある。多数の医学論文のほか、医学史、医療問題、言語学についての著述と文学創作を行う方なのだ。
紀伊国屋書店のウェブサイトの和書籍検索で検索すると、二宮陸雄の本は36件もヒットする。
最新刊「古事記の事実」、「医者と侍」書下ろし医学歴史長篇から始まるが、「インスリン物語」や「職業としての医師」という医学系の著述と一緒に、「サンスクリット語の構文と語法」「ラテン語構文と語法の研究」等々の語学というべき領域の著述の多さに驚く。

先生について朝日の記事には「古代の医学文献を研究するため印欧古典語を学び、かつて母校の東京大学などでラテン語の非常勤講師も務めた。医学を題材とする小説も手がけ、近著に『医者と侍』(講談社)がある。」とあるのだ。

.......それは15年ほど前のことだった。著述に疲れて散歩に出た二宮陸雄さんは、町の書店で何げなく岩波文庫版『古事記』を立ち読みした。衝撃が走った。 「当時、インドの古典語であるサンスクリット語に魅了され、その構文と語法に関する本を書く作業に没頭していました。偶然、『古事記』に出あってみたら、神代編にはサンスクリットの語感をもつ語句が多かったのです」........... 「音韻の変化も考慮し、1日にやっと5、6語しか進めないこともありました。今では、私は『古事記』を解読するために生まれてきたような気がします」.......... 本書は興味深い新説に満ちている。たとえば『古事記』独特の表記法として、漢字ばかりの神名や地名に、「上」など謎の「小字」が添えられているが、これは日本語にないサンスクリット母音の発音を示しているのだという。神々や歴代天皇の和名も、古代インドのヴェーダーンタ哲学思想をもとに、明快に解釈される。伊邪那岐命(いざなきのみこと)が生み出した12神が、実は黄道12宮の星座であると解明されるところなどは、読者も思わず息をのむ壮麗なシーンだ。............

いかほどかように、二宮陸雄先生はすごい先生なのである。


追記 080125

先日、二宮内科クリニックに行った時、高崎千穂先生から二宮先生が昨年10月お亡くなりになった事をお聞きした。
その活動範囲が多岐にわたる先生の事、まだまだ沢山の事をなさりたかったのではないかと想像する。先生の何事にも真摯な様子を見ることはできないのは残念なことである。
慎んで、ご冥福を祈りたい。


Posted by @ March 29, 2004 03:27 AM
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