031122

黄色い本

BOOKS

岩波の小冊子「読書のすすめ」中の随筆、香山リカの「読書だって"人生経験"」でふれられている読書好きの少女の話、高野文子の「黄色い本 ジャック・チボーという名の友人」が急に読みたくなって買い求めた。


黄色い本—ジャック・チボーという名の友人

著者: 高野 文子


ISBN: 4063344886
出版: 講談社
定価: 840-円(税込)

いつもは、特に漫画を読んでみようと思うことはなかったが、とても面白かった。

雪国の地方都市、高校卒業間近の読書好きの少女、田家実地子が、図書館から借り出した「チボー家の人々」全五巻を読んでいく過程が、日々の生活、学校と家、農業に生きる父母と小さな弟と預けられている姪との生活とともに描かれる。彼女が、本の中に登場する人物に同化し、語り、感じ、考えていく姿が描かれている。その本を読み終え、地元の就職先へと就職していくのであろうことが、その本の記憶とともに暗示される。

最後の方で、父親が彼女にいう「実ッコ その本買うか?」....「注文せば良いんだ 5冊買いますすけ 取り寄せてください 言うて」....「好きな本を 一生持ってるのも いいもんだと」....「俺(おら)は 思うがな」....... 。
その後、彼女は回想する、幼い頃、父に読み方を聞いた時のことを。「うーむ これは....印刷まちがいだな」「カーチャン 書くもん無いか 鉛筆でねえで消えねがん」彼はその間違いを本の上に書き込む「実ッコ 本はな ためになるぞう」「本はないっぺえ読め」

この父親のそれまでの人生を感じさせるその姿に、ちょっと感動した。

---------
きっと、いまさら、私の認識不足だったんであろうが、漫画ってすごいことになってるんだ、と思った。

Posted by @ November 22, 2003 06:03 PM
Comments

こんにちは。高野文子ファンなので、またコメントさせていただきます。

もしバックナンバーが手にはいるなら、「ユリイカ」の2003年7月号、高野文子特集をお読みになることをオススメいたします。このマンガ、こんなに奥が深かったのかと、何度も繰り返し読みたくなります!

Posted by: raizo @ December 26, 2003 06:47 AM

raizo さん、コメントありがとうございます。
私もその「ユリイカ」の特集号を手に入れて読んでみようと思っています。

Posted by: 秋山東一 @ December 25, 2003 08:09 AM

連日のコメントで失礼いたします。高野文子ファンだものですから...。
もしバックナンバーが手にはいるなら、「ユリイカ」の2003年7月号、高野文子特集をお読みになることをオススメいたします。ぼんやりしていて気づかなかったことも多く、こんなに奥が深かったのかと、何度も繰り返し読みたくなります!

Posted by: raizo @ December 24, 2003 08:18 PM

もしバックナンバーが手にはいるなら、「ユリイカ」の2003年7月号、高野文子特集をお読みになることをオススメいたします。こんなに奥が深かったのかと、何度も繰り返し読みたくなります!

Posted by: raizo @ December 23, 2003 08:51 PM

これって今年の第7回手塚治虫文化賞 マンガ大賞を受賞していたんだ。
とにかく、漫画にうといので、そんなこと知らなかったの、といわれそうだが、すみません。

http://www.asahi.com/tezuka/03a.html

Posted by: 秋山東一 @ November 23, 2003 05:47 AM