030715

工業化された新しい木の家

OM/VOLKS HAUS

フォルクスハウスA「木の道具箱」
工業化された新しい木の家

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いつのまにか、畳の間がつらなり広い縁側があるような昔風の家も少なくなり、どこにいっても画一的なハウスメーカーの家々、あるいはそれ風の家々という景色になってしまいました。それらの現在の家は、住まい手にとっても、作る側、設計者、工務店にとっても保守的な概念に支配されているように思えます。間取り図がそのまま立ち上がったような平面、小さな部屋のかたまりとしての家。いるのかいらないのかよくわからない仕上げの数々、そしてそれを作り出すための沢山の労力。そんな家のありようを考えなおしたいと考えました。今、我々の住む家は、単純で広々としたもの、そして合理的に作れるものであってほしいと考えました。

-家って箱なんだって考えた-

いろいろな今の家の決まり事、小さな部屋の集まりとしての家、色々な仕上げを全て取り去りました。家ってなんなのか、その基本から考えなおそうと思ったからです。
そして残ったのは木の箱です。それもとっても単純で素朴な住み心地のよい木の箱が残りました。それは道具箱とよんでいいかもしれません。その箱をどんな形に仕切るのか、そこにどんな玩具をいれるのかは、そこに住む住まい手であるあなたが決めることなのです。そう、それが自分たちの生活をつくりだすことなのです。沢山のものであふれてもよし、なんにもない空間がひろがっていてもよし、全ておのぞみのままなのです。
その箱がフォルクスハウスの基本です。

-環境にやさしい箱-

もちろんOMソーラーです。この高気密高断熱の箱はすばらしい性能を発揮します。屋根の三角部分には2つのダクトがつくられてとても簡単にOMソーラーの仕掛けを作り出します。気密性能の高くなった箱は換気性能を要求されます。OMソーラーシステムはとっても優れた換気装置であることを証明します。快適な室内環境を約束された箱なのです。

-丈夫な箱-

工場で正確に加工された集成材の柱、梁によって骨組みは構成されます。そしてその間に断熱材気密材が充填されだパネルが筋交いとして入ります。フォルクスハウスAの柱梁は軽く強靭です。そしてよく考えられた金物で緊結されます。どんな工法でも丈夫であることはどう設計するかによります。決して工法によってその優劣があるわけではありません。そしてフォルクスハウスAには丈夫な家をつくるための設計システムがあるのです。それは初めて構造設計の可能な木造軸組パネル工法といわれています。

-誰でも作れる箱-

工場生産された部材で組み立てられるこのフォルクスハウスAの箱は誰でも作れるようになります。それをセルフビルドとよびます。今までの家のように専門家にまかせることなく誰もがこのシステムにより自分自身の家を自分で作れるのです。そのような設計システム、施工システムをこのフォルクスハウスAはもっているのです。「家は買うものではないでしょう。家は作るものでしょう」と誰かが言ったのを思い出しました。いつのまにか家は買うものになってしまいました。そしてその住まい手はその売られている家に合わせて生活するようになってしまいました。ハウスメーカーの家もいつのまにか工業化住宅から商品化住宅と言われるようになってしまいました。それは家というイメージを持った商品でしかありません。

美しく性能が優れ環境に優しく適正な価格の家々が、新しい家並みを作り出します。家はその敷地も含めてその周辺、もっとおおきな環境、そしてもっと長いスパンの時間で考えなければなりません。それは新しい家の作り方を必要としています。
このフォルクスハウスAは自分で考え自分で自分の家、生活を作り出す人の為の新しい家の作り方です。

秋山東一
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OMソーラー協会「あいうえOM」1996年版所収

Posted by @ July 15, 2003 01:10 AM
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