The Little House /ちいさいおうち | [ BOOKS ] |
ROOTS の札幌の小さな家を見ていたら、昔の絵本を思い出した。
むかしむかし、静かないなかにちいさいおうちがたっていました。それは、ちいさいけれどとてもがんじょうにつくられた、強いおうちでした」
ピンクのばら色をしたちいさいおうちは丘の上に建っている。りんごの花がつぼみをつけることで春の訪れを知り、初雪が舞うことで冬の到来を感じていた。だが、町の明かりが遠くに見えはじめたのをきっかけに、ちいさいおうちの周辺もどんどんと変わっていく。まず道ができ、そこに自動車やトラックが走りだし、整備されて道路となった。やがて道路はあちこちに延び、背の高い家やアパート、お店、車庫なども次々と完成、ちいさいおうちを取り囲んでいく。
とうとう住んでいた人たちも引っ越してしまい、ちいさいおうちは町の真ん中でひとりぼっち。人工的な町の照明は明るすぎて、もはや太陽も月もわからない。ちいさいおうちは思う。「月あかりの中、かがやく白いヒナゲシのお花畑やりんごの木々がもう1度見たい」と。 ・・・・・・
バージニア・リー・バートンの絵は、「未来派」と云えるようなダイナミズムを表現しているクラッシッカルな、独特な美しい絵だ。
彼女の他の絵本は、機関車、除雪車、ケーブルカーや蒸気シャベルの話、生命の歴史といろいろある。みな邦訳がある。
[ Katy and the Big Snow ]「はたらきもののじょせつしゃけいてぃー」の話にしても、決して面白乗物物語ではなく、その除雪車の社会的な役割を教えるという内容である。
みな、古き良きアメリカ民主主義を感じさせてくれる何かがある。
この絵本は、石井桃子訳でみんな知っているのだ。