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The Little House /ちいさいおうち

BOOKS

ROOTS の札幌の小さな家を見ていたら、昔の絵本を思い出した。

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The Little House

Virginia Lee Burton



 むかしむかし、静かないなかにちいさいおうちがたっていました。それは、ちいさいけれどとてもがんじょうにつくられた、強いおうちでした」

こうして始まるバージニア・リー・バートンの『The Little House』(邦題『ちいさいおうち』)は、1943年、カルデコット賞に輝いた不朽の名作だ。

  ピンクのばら色をしたちいさいおうちは丘の上に建っている。りんごの花がつぼみをつけることで春の訪れを知り、初雪が舞うことで冬の到来を感じていた。だが、町の明かりが遠くに見えはじめたのをきっかけに、ちいさいおうちの周辺もどんどんと変わっていく。まず道ができ、そこに自動車やトラックが走りだし、整備されて道路となった。やがて道路はあちこちに延び、背の高い家やアパート、お店、車庫なども次々と完成、ちいさいおうちを取り囲んでいく。
  とうとう住んでいた人たちも引っ越してしまい、ちいさいおうちは町の真ん中でひとりぼっち。人工的な町の照明は明るすぎて、もはや太陽も月もわからない。ちいさいおうちは思う。「月あかりの中、かがやく白いヒナゲシのお花畑やりんごの木々がもう1度見たい」と。 ・・・・・・

バージニア・リー・バートンの絵は、「未来派」と云えるようなダイナミズムを表現しているクラッシッカルな、独特な美しい絵だ。
彼女の他の絵本は、機関車、除雪車、ケーブルカーや蒸気シャベルの話、生命の歴史といろいろある。みな邦訳がある。

[ Katy and the Big Snow ]「はたらきもののじょせつしゃけいてぃー」の話にしても、決して面白乗物物語ではなく、その除雪車の社会的な役割を教えるという内容である。

みな、古き良きアメリカ民主主義を感じさせてくれる何かがある。

この絵本は、石井桃子訳でみんな知っているのだ。

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ちいさいおうち

文・絵:バージニア・リー・バートン
訳者: いしいももこ
ISBN: 978-4001105537
出版社: 岩波書店
価格: 1,680-円(税込)

Posted by @ July 7, 2003 04:17 PM
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