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「無意識の脳 自己意識の脳/・・・」

BOOKS

科学評論家にして翻訳家の田中三彦(たなかみつひこ)氏よりご本をいただいた。

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「無意識の脳 自己意識の脳/身体の情動と感情の神秘」
The Feeling of What Happens/Body and Emotion in the Making of Consciousness
アントニオ・R・ダマシオ著 田中三彦 訳
講談社
¥2,800円+税


・・・この本は。「脳のない生き物はこの世にいくらでもいるが脳だけの生き物は進化史上存在したことがない。とすれば首から上の脳だけをいくら論じても意味がない。重要なのは「身体」、という視点出かかれた、脳の本です。著者はアントニオ・ダマシオ(本当は「ダマジオ」なんですが…)という、ポルトガル生まれの神経学者です。身体など少しも考えない唯脳論や認知科学が全盛のいま、アプローチは一見古典的ですが、話は斬新で、説得力があります。・・・

Posted by @ July 4, 2003 03:15 PM
Comments

訳者まえがき、のっけから「今回も邦訳版の書名や・・きわめて限定的で・・・」とあるのは奇っ怪なと思っておりました。納得いたしました。

Posted by: 秋山東一 @ July 5, 2003 05:44 PM

 私の山の神が大変お世話になっている秋山東一様に、感謝の意を込めつつこの本をお送りしたところ、光栄にも、なんとこのようなところにアップしていただきました。場違いのような気がしてちょっと気恥ずかしいですが、せっかくですから、図々しくちょっと書かせて頂きます。
 少々難しい本ですが、読んで頂けたら幸いです。「最先端の脳科学をやさしく教えてやろう」的なおせっかいな脳の本ではなく、なぜ私は私であなたではないのか?、なぜ私は私でありつづけるのか?、自己とは何か?、意識とは何か?、といった問題について、脳科学者ダマシオが提示する仮説を、読者がいっしょになって考える、といった趣の脳の本です。ダマシオの脳の仮説の最大の特徴は、生き物の「身体」を重視していることです。
 ついでに宣伝させていただくと、同じダマシオの「生存する脳」という翻訳本が3年前に出版されています。これと併せ読んでいただくとよくわかるかもしれません。「生存する脳」とは、じつに変な書名ですが、版元(講談社)のあるお偉い方は、「書名が意味不明なほど本はよく売れる」という悪しき信念をもっていて、訳者(私)の反対を押し切って、勝手にそういう書名をつけちゃいました。原題は「デカルトの誤り」。だから、お堅い専門家から書名に文句が出ているようで、訳者としては大迷惑なのですが、幸か不幸か売れていて…
 150年ほど前、大陸横断鉄道の敷設工事をしていたゲージという人の前頭葉を長さ1メートルの鉄パイプが突き抜けるというとんでもない事故が起きました。この本はそこからはじまります。驚くべき神経疾患の症例がいっぱい出てきます。

Posted by: 田中三彦 @ July 5, 2003 04:56 PM