030607

下小屋

BARRACK finder

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東北沢の近くの航研通り沿いに宇田川木材という大きな材木屋さんがある。
大きな倉庫に材木・建材、いつも賑わっている。そこから少々踏切よりの向かいに、この「下小屋」がある。

下小屋とは「下拵え(したごしらえ)をする場所」のことである。料理ではおなじみの言葉「下拵え」は建築の世界でもある。木造の骨組、土台・柱・梁の刻み、枠廻りの材料の加工等々、現場での作業前にこの「下小屋」での作業があるのだ。
地方では大工棟梁、工務店自身が下小屋を持っているが、土地事情からして都会では難しい。そこで材木屋が自分の顧客である大工棟梁・工務店に「下小屋」という場をサービスとして提供している例が多い。
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材木屋特有の、材木を立掛けて在庫する背の高い小屋に附随する形で小屋はある。材の積み下ろしの便のためであろう、大型のトラックが小屋の内部に入れるだけの高さをもった、細かいピッチで並ぶトラス風な方杖に支えられた小さな梁、軽い波板鉄版の屋根、透明波板を並べた明かり取りもぬかりない。
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ここの BARRACK というエントリーに、バラックの作られる要因をメモしておいたが、

1)度重なる増・改築によって原形を留めることなく変質したもの。
2)セルフビルド等により、世間一般の約束事、および一般的な考え方手法を超越したもの。
3)それが仮設物として、いい加減な程度で良しとする確信犯的に意図され施工されたもの。

この事例は3)的と云えるであろう。プロがプロの為、自分が使用するのにこれでよしとする時、その場にあった材料で、コストをかけず簡単に作る。
そんな作り方が、こんなバラックを作りだす。

今回の「下小屋」は特別にすぐれているとは云えないが、材木屋さんの周辺は BARRACK の宝庫なのである。

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Posted by Toichi.AKIYAMA @ June 7, 2003 11:25 AM
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