居心地のよさを追い求めて | [ Architecture , BOOKS ] |
永田昌民 (ながたまさひと) 氏が亡くなってから早6年、時間が経つのは早い。
そして、今、こんな本が出版された……、まっ、人徳というか人気なんであろう。
彼とは、1962(昭和37)年藝大建築入学の同期であった。同期といっても12人しかいない……、同級生というのが相応しい。
1973年には、私にとっては予想だにしなかった事態、彼の妹・永田博美と結婚……ということになって、親戚になってしまった。
その後、50年にわたって公私とも近しい関係があったのだ。
1987年のOMソーラー立上げに際しては、オーエム研究所メンバー最初の5人として、奥村門下として同じ環境下で過すことになる。
彼はOM住宅のエバンジェリストのように沢山の「居心地のよい住宅」を作り、私はフォルクスハウスのような住宅の作り方を作るへと変わっていった。
彼は設計を論理的、理詰めで成すという人ではなかった。全てに情緒的というべきか……。
唯我独尊……、建築について他者と考えを共有しようとも考えることもなかった。唯一、他者の仕事を褒めるというような事態になった時、「オレにはこれは出来ない」と言うばかりであった。
そんな永田昌民の仕事を、こんな形で再会できるのは、幸いである。
はじめに/益子義弘
1章 居心地のよい住まい
「北鎌倉の家」南北、2つの庭をもつ住まい/堀部安嗣
施主、施工者に聞く―安池建設工業
「山王の家」町につながる小住宅/趙海光
施主、施工者に聞く―幹建設
「所沢の家」屋上菜園をもつ都市住宅/倉方俊輔
施主、施工者に聞く―幹建設
「奈良の家」勾配天井のある住まい/三澤文子
施主、施工者に聞く―出口工務店
「安曇野の家」田園を望む、スキップフロアの住まい/横内敏人
施主、施工者に聞く―小澤建築工房
「知多の家」庭と一体化する郊外の住まい/田瀬理夫
施主、施工者に聞く―阿部建設
2章 永田語録から読み解く
永田マインド/庭/建具/階段/キッチン/浴室・トイレ/照明/OMソーラー/寸法・図面
3章 自邸「下里の家」から読み解く
対談 堀部安嗣×横内敏人
住宅設計は永遠の微調整
2つの家に住んで/永田佑子
施工者に聞く―相羽建設
4章 永田昌民の手と目
おわりに/小池一三