静 思 堂 | [ Architecture , Place ] |
10月19日、私にとって初めての場所である兵庫県北部、但馬(たじま)の出石町にいた。
アイランドプロファイル石原信氏のお招きで、豊岡市で活躍の「里やま工房」訪問と、出石町の宮脇檀の街造りの実際を見学する機会に恵まれたのだ。
まずは、宮脇檀が出石町に関係する切掛けとなった静思堂 (せいしどう) :斎藤隆夫記念館にでかけた。
斎藤隆夫は出石町出身の政治家、その高潔な意思によって尊敬されていた。有志の寄付によって記念館が建てられた。
この見事な静謐な空間を巧みなスケッチで構想したのは宮脇だが、それを見事に具現化したのは吉松眞津美……その人なのだ。
氏はいつもいつも自分の功績を語ることはない……、しかし、私と石原がここに連れてきてしまった。
吉松氏はこの静思堂から始まり、美術館、町役場、中学校と出石町の基幹をなす公共施設の設計にたずさわってきた。それは宮脇檀の1998年の死後も続いたのだ。
吉松眞津美氏は、私にとって半世紀近くにわたって親しくお付合いいただいている畏友である。1970年、初めての渡欧にご一緒した時以来の友人だ。
氏は、神職の息子、それが何故、建築なのか……、それも解き明かされた……、すばらしい時間であった。