090812

国立西洋美術館

Architecture , Event

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ひさしぶりの上野公園、国立西洋美術館にでかけた。

開館50周年記念事業として今月末まで開催されている「ル・コルビュジェと国立西洋美術館」を観にいったのである。

はっきりしない天気ではあったが、夏休み、三々五々、若い人達、家族連れでにぎわう上野公園であった。

もう、何時来たのかも忘れているが、建築知識誌にちょっとした原稿を書く為に、ル・コルビュジェの建築物としての美術館を観にきて以来なのだ。1980年頃と思うが、その時、裏側に前川事務所設計の新館が増築された後で、美術館の入口が裏側から入る形で、ル・コルビュジェのオリジナルな形と大いに異なる……違和感を覚えた事をよく覚えている。

現在、免震化工事、前庭部分の地下も企画展示館が建設され大いに異なる様相である。坂倉が手がけた講堂、事務棟が無くなり、最初のル・コルビュジェの部分だけがシンボルのように残されただけという印象だ。展示スペースは三倍になっているということだが……、それが50年経ったということなのかもしれない。
ここにル・コルビュジェを成り立たせるのに貢献した、日本人建築家の高弟達、前川國男、坂倉準三、吉阪隆正はもういない。

今回出かけて、唯一、アプローチが前庭からピロティの下に向かう形に復活していることはうれしい事であった。
奥行きこそ創建時とは異なるものの、低いピロティの下に導かれ、そして「19世紀ホール」での驚き、二階の低い天井と照明ギャラリー……、それらは十分にル・コルビュジェを体験できるのだ。

私の好きだった、一階受付カウンターから真っすぐ館長室に上がる階段、そして、二階展示室にぶら下がるように、それでいながら外部に開かれた開口部を持つ小さな館長室は既に使われていないのであろう。その空間のみを残して、透明な壁に囲まれて生態保存されているような状態を見るのは寂しい。ル・コルビュジェが意図した美術館の仕掛けが損なわれたまま、唯、保存されているようにしか見えないのだ。

ル・コルビュジェだけを観て外に出た。前庭が解放されているのは楽しい。そこにある「カレーの市民」の周辺の緑のちんけさに……又、がっかりするのであった。

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国立西洋美術館を出て、向かい側の東京文化会館のレストラン、精養軒に向かう。

芸大の学生時代、芸大の校門を出て上野駅までの間で、お茶したり食事したりできるのはここしかなかった。その頃の定番 (一番安かったから) のチャップスイとビールなんぞで遅い昼食をとった。

 ● チャプスイ(チャップスイ)


Posted by 秋山東一 @ August 12, 2009 10:21 AM
Comments

shin さん、どうもです。
初期のル・コルビュジェの……というか、意図された美術館とは別な物になってしまったようですね。松方コレクションのために……であったものが、国立西洋……であるがために肥大化し、三倍の展示面積になってしまったのですから。
まぁ、ル・コルビュジェの部分を保存した美術館ということなのでしょう。

Posted by: 秋山東一 @ August 12, 2009 05:28 PM

目立たないけど、19世紀ホール、ギャラリーいいですね
この舘、松方コレクションのために造られたものと聞きます
やはり国立西洋美術館というネーミングが大げさに思えて....

Posted by: shin @ August 12, 2009 02:34 PM