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1945年のドイツ ー瓦礫の中の希望

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1945年のドイツ ー瓦礫の中の希望

著者: テオ・ゾンマー  Theo Sommer
訳者: 山木 一之

ISBN: 978-4120040115
出版: 中央公論新社
価格: 2,940-円(税込)

5月9日は旧ソ連、現ロシアの「対独戦勝記念日」だった。モスクワの赤の広場では恒例の軍事パレードが行われた。英米の「ヨーロッパ戦勝記念日」は5月8日で微妙にに異なる。まぁ、今年は64周年ということなのだ。

本書は第二次世界大戦の終結と戦後の始まりである1945年を、1930年生まれのドイツ人ジャーナリストであるテオ・ゾンマーが概括したものだ。学術書というわけでなく平易なものだ。戦争指導者から市井の一般人の言葉まで、1945年という生きるに難しい時を再現しているのだ。


目次
  はじめに 1945年とは
第一章 厳寒の日々に始まった
第二章 包囲網は完結
第三章 ドイツ・ライヒの崩壊
第四章 戦争を継続する日本
第五章 降伏とともに始まったドイツ人の苦悩
第六章 描ききれなかった新しいドイツの青写真
第七章 廃墟の町を振り返る
第八章 ドイツ・ライヒの埋葬
第九章 原子爆弾の投下と天皇
第十章 困難な新生ドイツの第一歩
第十一章 ドイツの大掃除、そして瓦礫の中から生まれる息吹
第十二章 初めてのクリスマス
  おわりに 過去と現在

  訳者あとがき
  注と参考文献


1945年の5月にヨーロッパでの戦争は終わったが、8月になるまで太平洋地域での戦争は継続していた。広島長崎への原爆投下によって、その戦争も終わることになる。ドイツから見た太平洋地域での戦争、原爆投下、日本の敗北の記述が、実に客観的であるのに清々しい気分で読んだ。

日本の敗戦は、国家としての形はかろうじて残されていたが、ドイツは全ての体制が破壊され、何も残されていないところ、その1945年の過酷さが想像される。

Posted by 秋山東一 @ May 11, 2009 11:11 AM
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