Little Ackford | [ Architecture , THINK ] |
Little Ackford の ford というのは徒渉地点、ack は樫のこと、Little Ackford は「小さな樫のある徒渉地点」という意味になる。八ケ岳山麓の大泉村にある山荘の名前だ。Little とついているのは、大泉の Big にかけてあるのだ、と聞いている。
この山荘の主は三橋夫妻、私の設計で1992年今から12年前の7月、標高1000米の小楢の林、小さなせせらぎの横に、OMソーラーの木造の建物として建てられた。
英国生活の長いご夫妻によって、古英語による名前を付けられ、季節に関わらず週末住居として使われている幸せな山荘なのだ。
その上、1997年には THE WELCOME BOOK まで作っていただいてしまった。
WELCOME BOOK というのは、我が国ではあまり馴染ないが、住宅備え付けの来客の記帳簿、芳名録というものである。
三橋夫妻はそれをご自身のスペシャルな創作物として作り出された。全体のデザイン・編集は三橋夫人、各ページを飾る山荘の四季を彩る草花、風景、そしてさりげない日用品の写真は三橋氏本人の撮影という豪華版である。
建築雑誌の取材で山荘の写真を撮った建築写真家・北田英治の写真も数点、そして実際の出版物として作り出したのは、これも私のクライアントであり三橋ご夫妻の友人でもある吉田氏と、強力な人材に恵まれ、立派な三橋夫妻の WELCOME BOOK ができあがったのであった。
もちろん、そこに私も記帳させていただいたのであった。
Little Ackford はご夫妻に愛され続けていた。
全面の庭は三橋氏の手によって英国式庭園となるべく手入れされ、徐々にその形が作られていった。隣地の姉上の山荘と一緒になって開かれる、毎年、秋のパーティには大勢の客人によって賑わった。
今年1月22日、英国式庭園の完成を見ることなく三橋氏がお亡くなりになった。
ご冥福をお祈りいたします。
Posted by @ April 6, 2004 08:00 AM | TrackBack (0)